こんにちは、エルボン主任です。
配管継手を取り扱いしていてお馴染みの商品フランジ(FLANGE)
以前油圧用角フランジをご紹介させていただきましたが、今回は油圧用角フランジではなく、JIS B 2220 鋼管製管フランジとJPI-7S-15(石油工業用フランジ)についてご紹介させていただきます。
鋼管製管フランジは工場や商業施設など幅広ところで使用されており、継手業者の中ではめちゃくちゃメジャーな商品となります。
本記事も商品紹介では画像付きでご紹介させていただきます。
- 商品を写真付きで知りたい方
- 商品の別の呼び方(別名)が知りたい方
- フランジについて興味がある方
こういった方にはおすすめの記事となっております。
この記事は初心者の方に向けて突合せ式溶接管継手のノート(カタログ)をコンセプトにお作りしております。
記事がわかりやすかった場合や参考になる場合は、見返しができるようにお気に入り登録していただければ幸いです。
それでは参りましょう!
鋼管製管フランジとは
まず初めに本記事でご紹介するフランジですが上記でも少しご紹介しました、JIS B 2220 鋼管製管フランジとJPI-7S-15(石油工業用フランジ)についてご紹介させていただきます。
鋼管管フランジ、通称 フランジという商品ですが、画像の通り丸型の形状をし、配管はバルブといった商品に接続するときに使用する商品のことを言います。
角フランジは四角形状ですが、鋼管製管フランジは全て丸型の形状となっております。
使用方法は、フランジ同士の間にパッキンを挟み、ボルト・ナットを使用して固定します。
パッキンを使用する理由はフランジ同士を合わせても隙間がありますので、パッキンを使用して機密性を高めるためとなります。
なぜパイプ同士を溶接するのではなく、フランジをわざわざ使用するのかといいますと・・・
それは、フランジを固定しているボルト・ナットを外せばいつでも配管の取り外し(メンテナンス)ができるからとなります。
材質は鉄やステンレスなど
フランジですが、こちらも他の継手同様に材質があります。
- SS400
- SS400(白)
- SFVC2A
- SUS304
- SUS316
- SUS316L
などがよく出る材質となります。
当たり前ですが、材質が違っても形状などは全く同じとなります。
SS400とSS400(白)では見た目の通り、表面の処理(溶融亜鉛メッキ)がされているかされていないかで判断することができますが、ステンレスの場合は見た目が全く同じですので判断することができません。
その場合はフランジの外側に材質やサイズ、チャージ番号などが打たれておりますので、刻印を見て判断します。
フランジの圧力について
次に気になるフランジの耐圧性能についてご紹介していきます。
フランジという商品には「JIS5Kフランジ」・「JIS10Kフランジ」「JIS20Kフランジ」など『JIS ○K(○には圧力が入ります)』という表記(種類)があります。
これは表記の通り、5K用や10K用で分けているためであります。
この記事を書くにあたり、JIS番号を調べたのですが、5Kフランジでも使用条件によっては7K(0.7MPa)まで耐えることができるんですね!
ちなみにJIS10Kでは条件によっては14K(1.4MPa)まで耐えることができるみたいです。
逆に言えば、使用条件が悪い場合は、表記の圧力に耐えれない場合もございますのでご注意ください。
詳しい詳細はJIS番号で調べると出てきますので、確認してみると参考になるかもしれません。
また、上記JIS10Kなど他に「150LB」や「300LB」という150クラス(ポンド)といった圧力表記のフランジもございます。
これは何かというと、JISは「日本産業規格」という日本が定めている、日本国家規格となります。
上で触れた150LBや300LBはフランジは、JIS規格のフランジではなく、JPI-7S-15(石油工業用フランジ)の規格となります。
JPI規格のフランジですが、主にANSIフランジ(ANSI/ASME B16.5)の規格を参考に作られております。
ではJPIフランジとANSIフランジは何が違うかと言いますと、一番大きな違いとしましては日本とアメリカでは一部のパイプサイズの規格(外径)が違います。
外径が違うと内径も変わってきますので、JPI規格とANSI規格ではフランジの寸法が若干変わります。
そのため日本のパイプを使用しようとした場合、ANSIフランジ(ASME B16.5)を使おうとしても、使えない場合がございます。
そういった理由から、日本ではANSIフランジを使用する場合は、JPI規格のフランジを使用するパターンがかなり多いです。
私が過去に営業でANSIフランジ(ASME B16.5規格)をお客様から求められたことは過去に1回しかありません。
それぐらいANSIフランジ(ASME B16.5規格)は流通頻度がかなり低いです。
たまに新人からこういった質問がきます。
こういった質問は、お客様へ使用するパイプはJIS配管なのか、ANSI配管なのかを聞くのが一番手っ取り早いです。
本来「ANSIのフランジ」と言われたら「ANSIフランジ(ASME B16.5規格)」となるのですが、先の程も仰った通り、日本ではほぼほぼ出ません。
使用するパイプも日本で仕入れたパイプなら大体が日本製鐵製やJFE製がメインとなりますので、ANSIフランジ(ASME B16.5規格)ではなくJPI規格のフランジじゃないと使用することができません。
そのため、もし「ANSIのフランジ」と問い合わせを受けた場合は、「JPI規格で良いか」もしくは「使用するパイプはJIS配管かANSI配管」を聞くと良いでしょう。
一般的な圧力規格は以下となります。
- JIS5K
- JIS10K
- JIS16K
- JIS20K
- JIS30K
- JIS40K
- JIS63K
- 150LB(JPI-7S-15)
- 300LB(JPI-7S-15)
- 600LB(JPI-7S-15)
- 900LB(JPI-7S-15)
- 1500LB(JPI-7S-15)
フランジの使用方法について
では次にフランジがどのように使用されるのかについてご紹介していきます。
フランジというエルボなどと違って単体では使用することができません。
【フランジ(2枚)+ボルト・ナット+パッキン】このセット品で使うことで初めて使用することができます。
フランジがどのように使用されているのかは下記画像をご覧ください。
画像を見てわかる通り、フランジを2枚重ねて使用し、フランジをボルトナットで固定します。
フランジの間にはパッキンというシート材が入っております。
何故パッキンを入れるかと言いますと、フランジ同士の隙間を埋め、流体を流したときに漏れが発生しないようにするためとなります。
フランジ同士を合わせても完全に密閉されるわけじゃないんですよね。
どうしても隙間が出てしまいます。
パッキンを使用することにより、隙間を埋め、流体の漏れを防ぐことができます。
フランジとは単対で使用することができないため、ボルト・ナット+パッキンが揃ってから初めて使用することができます。
フランジの形状について
ここから先は実際によく使用されるフランジの形状についてご紹介していきます。
用途は全く同じですが、形状が若干違ったりしますので、わかりやすくご紹介していきます。
まずフランジには主に6つの種類がございます。
- スリップオン溶接式フランジ
- ソケット溶接式フランジ
- 遊合形フランジ
- ねじ込み式フランジ
- 突合せ溶接式フランジ
- 閉止フランジ
どれも丸型という形状は同じですが、使用方法や接続方法が異なります。
そういったところも含めてご紹介していきます。
スリップオン溶接式フランジ(差し込み溶接式フランジ)
まずスリップオン溶接式フランジはフランジの中でも最もポピュラーな商品となります。
真ん中にパイプを差し込み溶接して使用します。
このスリップオンフランジですが主に2種類の商品がございます。
①SOP(Slip on Plate)
SOPはフランジを使ったことがある方ならわかると思いますが、一般的な丸い板状の形となっております。
外側にはボルトを通す穴が空いており、センターはパイプを通す穴が空いております。
THE フランジ!と言っていいほど当たり前の形状となっております。
SOPとはSlip on Plate(スリップオンプレート)の略となります。
ちなみにPL-FFという呼び方もありますが、これはSlip on Plate(スリップオンプレート)のPlateのPLをとって、PL-FFと呼ばれたりします。
- SOP
- PL
- 溶接フランジ
- 差し込み溶接フランジ
②SOH(Slip on Hub)
次にご紹介するのがSOHフランジですね。
SOHとはSlip on Hub(スリップオンハブ)の略となります。
スリップオンまでは一緒で、最後にプレート Plate(プレート)ではなくH(Hub)となります。
SOHフランジの主な特徴としては、フランジのパイプ差し込み口が少し盛り上がっております。
この盛り上がっているフランジのことをハブフランジ(SOH)と言います。
別の記事でまたご紹介しようと思うのですが、ハブフランジはSOH(A)・SOH(B)・SOH(C)と3種類があります。
どれも同じハブフランジなんですが、ハブフランジの中でも形状が少し違った種類もあります。
A形・B形・C形についてはまた別の記事でご紹介させていただきます。
- SOH
- ハブフランジ
- 溶接フランジ
- 差し込み溶接フランジ
ソケット溶接式フランジ
ソケット溶接式フランジはSW(Socket Weld)フランジと言います。
ソケット溶接式フランジの主な特徴ですが、フランジにパイプを通す穴がソケット上になっており、パイプがフランジを貫通しない作りとなっております。
そのためパイプとフランジを溶接する際は、フランジ上部の1箇所のみとなります。
主な呼び方は下記となります。
- SWフランジ
- ソケット溶接式フランジ
遊合形フランジ
次にご紹介するのが遊合形フランジですね。
遊合形フランジは別名ラップジョイントフランジ(Lap Joint Flange)やルーズフランジ( Loose Flange)とも呼ばれたりします。
個人的に業界でよく呼ばれているのはルーズフランジだと思っております。
見た目の違いは、片面に内径の縁がRカットされているのが特徴です。
このフランジは溶接などは一切せず、スタブエンド(ラップジョイント)という突合せ式溶接管継手の一種である継手と組み合わせて使用します。
スタブエンド(ラップジョイント)という継手にルーズフランジをはめることにより、フランジが固定されていないため、施工する際にフランジのボルト締めがかなりしやすいメリットがあります。
そのほかにも流体が流れる部分がスタブエンドとなるため、スタブエンドをステンレス材にし、フランジをSS材にすることによりコストダウンなどのメリットもあります。
主な呼び方は下記となります。
- 遊合形フランジ
- ルーズフランジ
- ラップジョイントフランジ
- LJフランジ
ねじ込み式フランジ
ねじ込みフランジは名前の通り、パイプにねじを切って接続したり、ねじ込みの継手を使用して使用したりします。
ねじ込みフランジをThreaded flangeと読んだりもします。
詳しい詳細はねじ込みフランジは低圧のねじ込み継手でもご紹介しておりますので、気になる方は是非ご覧になってください。
主な呼び方は下記となります。
- ねじ込み式フランジ
- TRフランジ
- STF
突合せ溶接式フランジ
次にご紹介するのが突合せ溶接式フランジですね。
普通のフランジと比べて、パイプとフランジを突き合わせて溶接するような形状になっております。
別名ウェルドネックフランジ(Weld Neck Flange)とも呼ばれます。
日本語ではウェルドは溶接、ネックは首という意味です。
- WNフランジ
- ウェルドネックフランジ
- 突合せ溶接式フランジ
BL(Blind Flange)
次はBLフランジですね
BLフランジとはBlind Flangeの略で、閉止フランジ(盲フランジ)と呼ばれたりします。
閉止フランジ(盲フランジ)はボルト穴しか開いていないフランジのことを言い、これは流体を止めたりするときに使用します。
- BL
- 閉止フランジ
- 盲フランジ
フランジの座面(FF・RF・RJ等)について
先ほどはフランジ全体の形状についてご紹介させていただきました。
ですがフランジにはもう一つ大事なポイントがございます。
それが座面です。
この座面とは一体なんぞや言いますと、フランジにはガスケット(パッキン)を使用します。
そのガスケット(パッキン)をフランジに当てる部分のことを座面と言います。
この座面は何種類かあり、今回は私が過去にお客様よりご注文いただきました
- FF(Flat Face)
- RF(Raised Face)
- RJ(Ring Joint Face)
こちらの3種類をご紹介していきます。
FF(Flat Face)
まずは王道中の王道、FF形状ですね。
FF=フラットフェイス(Flat Face)と呼ばれます。
主な特徴としては、フラットフェイス=平らな面という名前なので、ガスケットの部分が平らなのが特徴です。
写真で見てもわかる通り、フランジに突起などがないフラットな形状となっております。
FFやフラットフェイス、前面座(全面座)などと呼ばれたりします。
RF(Raised Face)
次にご紹介するのがRF形状です。
RF=レイズドフェイス(Raised Face)と呼ばれます。
RF形状の主な特徴は、フランジのボルト穴より内側が少し盛り上がった形状になっており、ここにパッキンをセットする形状となっております。
Raiseは「上げる・持ち上げる」といった意味があり、パッキンを挟む(乗せる)部分が少し盛り上がっているので、レイズドフェイスと覚えると覚えやすいかもしれません。
FFのフランジと比べ、ボルトで固定した際にパッキンがボルトの穴より内側にあるため、ボルトで締め付けた際の圧力がかなりかかり、密閉製に優れております。
こちらの形状はRFや平面座と呼ばれるのが一般的です。
RJ(Ring Joint Face)
次にあまり出ることがないRJ形状についてです。
RJ=リングジョイント(Ring Joint Face)と呼ばれます。
こちらのフランジはかなり特殊で、フランジにリングジョイントガスケットをはめる溝が掘ってあります。
写真を見たらわかる通り、フランジに溝があり、溝へリングジョイント用のガスケットをはめる構造となっております。
フランジの形状と座面がわかったら組み合わせる
フランジの形状と、座面の形状についてはある程度ご理解頂けたでしょうか?
次は最後の復習となります。
フランジとは先ほどご紹介したSOPやBLなどの形状の後に座面を指定するで改めてちゃんとした商品を選定することとなります。
お客様より「SOPのフランジやRFのフランジが欲しい!」と言われても
となるわけです。
逆もまた然りで、こちらが商品を選んでるときに上記のようなことを言ってもどの商品が欲しいかピンときません。
そのため、フランジとは形状と座面をくっつけて記載したり呼んだりします。
- SOP-FF(FF溶接フランジ・溶接フランジFF・・・等)
- SOP-RF(RFフランジ・溶接フランジRF・・・等)
- BL-FF(FF閉止フランジ・盲フランジFF・・・等)
- BL-RJ(閉止フランジRJ・閉止フランジリングジョイント・・・等)
- SOH-FF(FFハブフランジ・・・等)
上記のような呼び方や記載をしたりします。
まだ呼び方に関しては業者や職人によって様々ですが、
形状(SOP・BL) ー 座面(FF・RF)
上記のような呼び方がフランジのフルネームとなりますので、フランジの基礎知識を抑えたい方は是非覚えておきましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はフランジについてご紹介させていただきました。
ここまで長い記事になるとは思っていなく、また自分も調べたり復習しながら書きましたのでかなり勉強になりました(笑)
フランジは商業施設や工場など幅広いところで使用されており、常日頃からお客様から求められているメジャーな商品となっております。
メジャーな商品ですが、意外に「え?そうなの?」って思うことも多々あります。
他の記事同様に、初心者の方から経験者の方でも読み返したら「あ〜なるほど!」と思う記事にしておりますので、参考になった方は是非お気に入り登録していただければ幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。