こんにちは、エルボン主任です。
本記事では配管継手業界10年で新人教育を沢山してきた私が、継手についてご紹介していきます。
今回ご紹介するのは鉄ソケットですね。
当ブログでは高圧継手や低圧継手で『ソケット』という商品を何度かご紹介させていただきましたが、今回は『鉄ソケット』という製品についてご紹介していきます。
って疑問に思う方もいますよね。
今回ご紹介する鉄ソケットとは高圧(S25C)のソケットでも低圧(FCMB)のソケットも全く違う製品となります。
- 鉄ソケットについて詳しく知りたい方
- 使用方法が知りたい方
- 何故「鉄ソケット」という継手があるのか知りたい方
こういった方にはおすすめの記事となっておりますので、是非ご覧になってください。
それでは参りましょう!
鉄ソケット(溶接用ソケット)の仕様について
まずこちらのソケットは名前に『鉄』が入っている通り、材質は鉄(スチール)製となります。
鉄製の継手ですが、高圧(S25C)や低圧(FCMB)の継手でも違った材質となります。
まずこちらでご紹介している鉄ソケットの材質ですが、メーカーによって使っている母材が若干異なりますが、どのメーカーも『炭素鋼鋼管』を使用されております。
この炭素鋼鋼管には色々と種類があり、配管用炭素鋼鋼管(JIS G3452)や一般構造用炭素鋼鋼管(JIS G3444)があります。
名前とJIS番号が違いますが、どちらも炭素鋼鋼管で鉄ソケットを製造されております。
鉄ソケットは溶接ができるのかについて
本記事でご紹介している鉄ソケットですが、結論から申し上げますと溶接することは可能です。
この鉄ソケットは母材が炭素鋼鋼管のため、タンクやパイプに溶接することが可能なんですね。
似たような継手でFCMBのソケットがありますが、材料が鋳物(可鍛鋳鉄品)のため溶接に適していないんですね。
そのため、この溶接対応可能な鉄ソケットは、タンクのドレン抜きやパイプの母管から枝管を作る際によく使用されます。
ねじの規格について
ねじの規格についてですが、どのメーカーも『JIS B 0203 Rp(PS)ねじ』に準して作られております。
『Rp(PS)ねじ』のことをストレートねじ(平行ねじ)といったりしますので、ストレートソケットとも呼ばれたりします。
鉄ソケットの耐圧について
鉄ソケットの耐圧についてですが、メーカーによって違いはありますが、大まかに調べたところ、1MPaが殆どでした。
メーカーによって2MPaもありましたので、気になる方はメーカーのホームページでご確認するのが確実かと思われます。
メーカーによって違いはりますが、1MPaの耐圧になりますと、低圧の継手となりますね。
鉄ソケットの使い方について
次は鉄ソケットの使い方についてご紹介していきます。
上の方でも少しご紹介はしましたが、使い方は幅広くございます。
汎用性の高い鉄ソケットの使い方や使用場所などについてご紹介させていただきます。
タンク等のドレン抜き
よくある使い方ではタンク等でのドレン抜きが挙げられます。
ドレンとはタンク等から排水を行うための設備となります。
タンクなどに溜まっている流体を、外部に逃すために鉄ソケットが使用されます。
タンク下部へ鉄ソケットを溶接することにより、タンク内の流体を排水することが可能となります。
鉄ソケットにはネジが切られていますので、鉄ソケットからねじ込み継手を使って施工することが可能となります。
母管からの枝管に使用
次にご紹介するのが母管(パイプ)に溶接して枝管を作る際に使用したりします。
パイプに穴をあけ、鉄ソケットを溶接することにより簡単に枝管を作ることが可能となります。
タンクのドレン抜き同様に、枝管を作った後はねじ込み継手を使って施工することが可能となります。
ねじ込みのソケットとして使用
最後は一番ポピュラーなねじ込みのソケットとしての使用となります。
この鉄ソケットは溶接可能な商品であると同時に、ネジが切られておりますので通常のねじ込み継手として使用することも可能です。
ですがこの鉄ソケットの耐圧は1MPa程度と通常の低圧継手(FCMB)と殆ど同じなので、ねじ込みとして使用される頻度は意外と少ないです。
迷った時の選定方法
お客様より「ソケット頂戴」とよく言われますが、ソケットでもFCMBのソケットだったり本記事でご紹介している鉄ソケットだったりと色々とあります。
そこで私がよくお伺いしているのが、
- 『溶接をするかしないか』
- 『低圧か高圧』
の2点をよくお聞きしております。
低圧継手で溶接しないのであれば、基本的には鋳鉄材のFCMB低圧継手。
低圧継手で溶接するのであれば、鉄ソケットじゃないと対応できないため、鉄ソケットとなります。
では何故2点目の、低圧か高圧かの情報が必要かといいますと、高圧継手の母材は鍛造品となりますので、溶接することが可能なんですね。
そのため、「お客様が溶接対応可能なソケットが欲しい」と言われても高圧継手も鉄ソケットも溶接対応可能な製品となるわけです。
上記の理由から、溶接ができるソケットと言われても、低圧か高圧かの確認が必要なんですね。
低圧の場合は鉄ソケット、高圧の場合はPTハーフやPTソケットなど色々と形状がありますので、これもお客様へ確認する必要がございます。
まとめ:鉄ソケットは溶接でもねじ込みでも使える優れた製品
ここまでご覧になって如何でしたでしょうか?
迷った時の選定方法で「ややこしくて難しい!」と思った方も多いんじゃないでしょうか?
そうですよね、鉄ソケットに限らず継手って本当に奥が深くて難しいんですよね。
ですが今回ご紹介した鉄ソケットは『溶接できる低圧のソケット』と認識できればOKだと思います。
選定方法などはゆっくりと時間をかけて覚えていけばよろしいと思いますので、まずは溶接ができる鉄ソケットがあるということを覚えておきましょう!
当ブログは、初心者の方から経験者の方でも読み返したら「あ〜なるほど!」と思う記事にしておりますので、参考になった方は是非お気に入り登録していただければ幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。